知恵を身につける本当の意味

生徒たちは、何十年にもわたって同じ質問をしてきます

「学校で、さまざまな勉強しますが、社会に出てから、自分の職業や生活の中で、どのくらい役に立つのですか。」

しかし、それに対して、意味深く、明確に答えるには、かなり難しい問題です。時代とともに、その答え方も、更新されていくものと思われます。

確かに今現在、社会の中で立派に活躍している人でも、中学校や高等学校で学んだことがらを、現時点でテストされたら、少なくとも、現実の仕事と関係のない科目では、いくら知恵を絞っても、よく勉強している中学生、高校生以下の成績になってしまいます。学校で、学習したことのかすかな記憶は、あったとしても、ほとんどのことは、忘れていて、答えを出すことは、なかなか難しいです。

多くの人の体験で言えば、知識を吸収するために、英語の時間に習った、文章の訳しかたや、単語の意味、そういうものは、ほとんど忘れてしまったけれども、英語圏に住んでいる人たちの文化とか、学園祭での楽しさなどは、残っています。

それでもどうして人は、学ぶことを続けるのか、結論から言えば、知恵を身につけるためだと思います。人間の脳は、過去の出来事や、過去に得た知識を、一時的に記憶しても、時が来れば、忘れてしまうようにできています。

そしてまた、覚えたことも、ほんのわずかしか、取り出せないということです。それなのに、人はどうして学んで、知識を得ようとするのでしょうか。多くの論者の方々と同じように、私もそれに対して、知恵を身につけるためだ、と答えることにしています。それは、人が生きていくための知恵です。

学んで行く途中で、知恵という、目に見えない生きていく上に、非常に大切なものが、作られていくと思います。この知恵が作られていく限り、学んだことを忘れても、それは問題のないことです。忘れたことをもう1度、取り戻そうとする

時、少なくとも知恵があれば、心の準備ができます。また知恵があれぱ、時間をかけて、そのことを理解できるようになります。

知恵には広さや、深く見つめる力、そして決断力を促す側面もあります。人はなぜ学ぶか、という質問に対して、そのような知恵を、身につけるためだ、と答えられると思います。

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